最近インターネットでヒルドイドがアンチエージングクリームなどと言われ話題になっています。小じわが減る効果や肌が生き返るなどの記事やレビューが今でも多く見つけられます。しかし本当にヒルドイドにそのような効果があるのでしょうか?

ヒルドイドの歴史と用途

ヒルドイドもしくはその後発薬であるビーソフテンは皮膚科を受診した時に処方される保湿剤です。処方薬であるため処方箋なしではドラッグストア等で購入できません。ヒルドイドの有効成分は「ヘパリン類似物質」というものです。「ヘパリン類似物質」はドイツのルイトポルド・ウエルク製薬会社で作られたもので、「ヘパリン類似物質」を有効成分とするクリームがドイツ国内では1949年に発売され、日本国内では1954年10月に発売されました。当初日本での発売するにあたって承認された効能効果としては、血流をよくする作用が期待され、筋肉痛・腱鞘炎・関節炎・シモヤケなどに対してであり、整形外科領域や外科領域で使用されました。しかし、期待されていたほどの効果が無く徐々に使用されることがなくなっていきました。その後、「ヘパリン類似物質」に高い保湿能があることから1990年12月に皮脂欠乏症の効能効果が承認されたことで、皮膚科領域でも保湿剤として使用されるようになりました。実際に高い保湿力があり、刺激性も少ないことから、現在ではアトピー性皮膚炎や乾燥肌などの多くの患者にとって無くてはならない保湿剤となっています。

ヘパリン類似物質とはどんな成分?

ヘパリンとはヒアルロン酸などと同じ「ムコ多糖類」と呼ばれるグループの物質で、肝臓で生成され私たちの体内に広く存在し、細胞と細胞の間の水分を保つ働きの他にも、血が固まるのを防ぎ血行を促進する作用があります。ヒルドイドの有効成分である「ヘパリン類似物質」は、ヘパリンと化学構造の骨格が似たもので、ムコ多糖の化学構造を変化させ保湿能力を向上させたものです。分子量が大きいため、皮膚の深くまで浸みこみにくく刺激性が少ないことが特徴です。その大きさを考えると、効果として期待される皮膚の下の血流への作用はあまりないのではないかと一部では考えられています。

美容効果は?

ヒルドイドの有効成分はヘパリン類似物質で、それには高い保湿効果以外は大きな効能は見られません。このため、インターネットの記事にあるようなアンチエージング等の美容効果は残念ながらそれほど期待できません。

では他の保湿剤との違いは?

一般的に市販されている保湿系のクリームには、ワセリン・尿素などがあります。ワセリンは一度塗るとなかなか取れないので長持ちしますがベタツキを嫌がる人が多いです。また手に使用する場合、ワセリンの粘着性のため、持ったものにワセリンの跡がついてしまうことがあります。このため仕事によっては使えません。尿素は皮膚を軟らかくする効果はありますが、保湿能力という点では、生活レベルの湿度環境においては、ヘパリン類似物質と比べて10倍程度以上弱いという報告があります。保湿力だけをとると、ヘパリン類似物質の方が優れているようです。(参照:日本香粧品学会誌Vol. 8 No. 2 1984)

その他に期待できる効果は?ニキビに効果ある?

美容効果以外にニキビへの効果を謳う記事も見られます。ニキビはアクネ菌などが原因となりますが、ヒルドイドにはこれらの菌を抑えたり、炎症を抑えたりする作用はありません。そのためヘパリン類似物質だけではニキビに効果はありません。またニキビ跡を改善する効果も期待できません。

まとめ

ヒルドイドはヘパリン類似物質を有効成分とする処方薬で、高い保湿効果があります。一方で保湿効果以外の効果は認められず、美容やアンチエージング作用はそれほどは期待できません。ヒルドイドの利用は保湿目的でご利用ください。

最後に

ヒルドイドやビーソフテンクリームの有効成分であるヘパリン類似物質が入った市販薬が販売されています。このため処方箋がなくても、同様の効果が期待できる医薬品を購入できます。ピアソンHPクリームやHPローションにはヒルドイドやビーソフテンクリームと同じ濃度のヘパリン類似物質が配合されています。有効成分以外の成分はビーソフテンとほぼ同じです。乾燥肌で悩んでいる方、アトピー性皮膚炎などの肌が弱かったり敏感だったりする方で高い保湿効果を持つクリームやローションが必要な方におススメです。成分の濃度は1g中に3mg含まれており、処方薬のビーソフテンと全く同じ濃度であるため、同程度の効果が期待出来る市販薬です。

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